挟んで押し付けて

「あ、なんか封筒来てたから開けといて」
「……思ったんだけど」
「?」
「封筒が来るといつも僕に開けさせてない?……気のせいかな」
「き、気のせいだと思うけど」
「とにかく僕今ちょっと手が離せないから今日ぐらいは自分で開けてね」
「え、」
「あ、鋏は引き出しの中にあるから君のとこになければ適当に持って行ってね」
「何やってるの」
「……編み物。おかしい?」
「あっ、いえ……」
〜20分後〜
「ふぅ。……続きは明日にしよう」
「そういえばやけに静かだなぁ……?本でも読んでるのかな、僕も新しいの貸してもらおう」
「ねえこないだ借りたの読み終わったから続きを……!??」
カチャンカチャンガチャンカチャンカチャンカチャカチャ
「……切れないの?」
「……はい」
「……君って」
「……」
「……すごく不器用なんだね」
「……」
「……」
「……はい」
「……貸して」
「……お願いします」

というわけで鋏使うのが下手で悩んでいます。
自前のは徹底した品質管理を行うことでどうにかしてるんですが、他人から借りたものとか部屋に備え付けてあるものとかをロクに使えないので日常生活においてそれなりに支障をきたしています。
肌身離さずマイ鋏を持ち歩けばいいのですが銃刀法がどうとかこうとかであっさり捕まってしまいそうなのが不安。

ところで僕は左利きなので、そんなこと言うと待ってましたとばかりに左手用や両手用の鋏を貸してくださるという親切な方々もいらっしゃるのですが、残念ながら僕は左手で右手用の鋏しか使えないタイプの左利きなのでどうにもなりません。
左手用はともかく両手用まで使えないから多分刃の立て方が決定的におかしいというところまでは辿り着いているのですがそこから先の解決法に行き着かない。
地域で「刃物の使い方教室」みたいなのないかしら。

では。